Myths Busted

アナボリック・ウィンドウは神話です。

3 studies · Schoenfeld 2018 review

バーをラックに戻した瞬間にプロテインを流し込む必要はありません。トレ後の栄養タイミングについて、研究が実際に言っていることを「大きなレビュー2本」をもとに整理します。

1分で読了

アナボリック・ウィンドウは神話です。

みんなが信じてる神話

何百回も聞いたことありますよね。「最後のレップから30分以内にタンパク質を入れないと、筋肉が逃げる」ってやつです。でも、その“30分締め切り”は、証拠が支えていません。

この考え方は「アナボリック・ウィンドウ(チャンスの時間)」なんて呼ばれていて、トレーニング直後に筋タンパク合成が一気に上がって、すぐ落ちる。だから急いで栄養を入れないと“ドアが閉まる”——というストーリーなんです。中には「タイミングは1日の総摂取量より大事」とまで言う研究者もいました(Schoenfeld et al., 2018)。

これが研究室を飛び出して、ジムのロッカールームに定着した“定説”です。でも実際の科学は、もっと落ち着いた話をしています。

栄養のタイミングは、1日の総摂取量より筋肉づくりに重要だ——そう主張する研究者もいました。でも証拠は別の結論です。

Schoenfeld et al. (2018). Is There a Postworkout Anabolic Window of Opportunity for Nutrient Consumption? J Orthop Sports Phys Ther.

Schoenfeldのレビューが“実際に”言っていること

Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapyに出た2018年のナラティブレビューは、アナボリック・ウィンドウを語るときに必ず出てくる有名どころです。管理された研究を一通りチェックして、結論はかなりハッキリしています。ウィンドウ自体はある。でも幅は30分じゃなくて「数時間」です(Schoenfeld et al., 2018)。

理由はシンプルで、筋タンパク合成は筋トレ後およそ24–48 hoursは高い状態が続くからです。トレーニングの“前後”でタンパク質を入れるのは大事ですけど、「前でも後でもOK」で、締め切りはジム文化が言うほど厳しくないんですよね。

ここが特に大事なんですけど、トレ後プロテインが効いたように見える研究って、実は「プロテイン vs 何もなし」を比べていることが多いんです。タイミング違い(すぐ飲む vs ちょっと後)を比べているわけじゃない。だから、1日の総タンパク質量を揃えると、タイミングの差は一気に小さくなります。

正確なタイミングより、1日の総タンパク質

筋肉が増えるかどうかを一番左右するのは、「1日にどれだけタンパク質を食べたか」です。時計の針じゃありません。

Schoenfeld et al. (2018)もここはストレートに言っています。1日のタンパク質目標を満たしているなら、いわゆる“ウィンドウ”を1〜2時間外したところで、筋肥大が目に見えて落ちることはありません。トレ後シェイクで得している人も、ほとんどの場合は「締め切りに勝った」んじゃなくて、単にタンパク質の数字を安定して達成できているだけなんです。

つまり、話の軸を変えましょう。ストップウォッチに焦るより、まずは合計です。

1日のタンパク質量が同じなら、トレ後の“窓”を1時間外しても、筋肉の伸びが意味のあるレベルで落ちることはありません。

Schoenfeld et al. (2018). Is There a Postworkout Anabolic Window of Opportunity for Nutrient Consumption? J Orthop Sports Phys Ther.

「ペットドア」じゃなく「ガレージのシャッター」

Nutrientsの2020年レビューが、いい言い換えを出しています。細いアナボリック・ウィンドウじゃなくて、栄養タイミングは「ガレージのシャッター(garage door of opportunity)」みたいに考えよう、という提案です(Arent et al., 2020)。広くて、わりと寛容で、1日の中で開いてるタイミングがいくつもある、ってことですね。

著者たちは「トレ後の一瞬」だけに執着すると、栄養タイミング全体を見失うと言っています。たとえばトレ前のタンパク質、持久系ならトレ中の補給、寝ている間の合成を支える就寝前のタンパク質、そして1日の配分。どれか1つの瞬間が勝負を決めるわけじゃないんです。

実用面でも助かります。朝イチの空腹トレで、終わってから1時間食べられなくても大丈夫。逆に、トレ2時間前にタンパク質多めの食事をしていたなら、トレ後の食事はさらに急がなくていいですよ。

タイミングが“効きやすい”場面もあります

とはいえ、トレ後のタイミングがちょっと重要になりやすい状況もあります。

一番わかりやすいのは空腹でのトレーニングです。筋トレ前に8+ hours何も食べていないと、筋タンパクの分解側のシグナルが強くなりやすい。こういうときは、食べている状態に比べて、トレ後に早めにタンパク質を入れる意味が大きくなります(Schoenfeld et al., 2018)。

もう1つの例外は1日2回練習みたいなケースです。回復の間隔が8 hours未満に詰まると、グリコーゲンの回復やタンパク質の供給が、ちゃんと“時間勝負”になってきます(Arent et al., 2020)。

でも、最後の食事から4–5 hoursくらいで筋トレして、1日1回のトレーニング——このタイプなら、急ぐ必要はほぼゼロです。次の食事を、生活の都合がいいタイミングで食べましょう。

結局どうすればいい?

研究の流れを踏まえると、実践はこれでOKです。

1. まずは1日のタンパク質目標を達成する。 目安は体重1kgあたり~1.6–2.2 g/日。タイミングより、ここが圧倒的に効きます。

2. タンパク質はトレーニングの前後「数時間以内」に。 30分じゃなくて、数時間です。トレ前にタンパク質入りの食事をしているなら、それもカウントしていいですよ。筋肉は「アミノ酸がトレ前から来たか、トレ後から来たか」なんて気にしてません(Schoenfeld et al., 2018)。

3. タンパク質は3–4回に分けて食べる。 まとめ食いより分散のほうが、1日の中で筋タンパク合成を安定して高めやすいです(Arent et al., 2020)。

4. とはいえ、トレ後を完全にスキップしない。 「トレ前後に食べるのは関係ない」という意味での神話じゃありません。神話なのは、「締め切りが宣伝みたいにキツい」という部分です。

Planfitだと、ここをこう活かします

Planfitは「本当に効く要素」から優先してプログラムを組みます。漸進性過負荷、トレーニングのボリューム、そして続けられる食習慣。タンパク質のタイミングは“つまみ”の1つで、まずは大事なつまみから合わせていきましょう。

ワークアウトを記録して、1日のタンパク質も追いかける。そうすると、タイミングみたいな細かい調整にいつ注目すべきか、アプリが教えてくれます。

ストップウォッチはいりません。

参考文献

  1. Schoenfeld BJ et al. (2018). Is There a Postworkout Anabolic Window of Opportunity for Nutrient Consumption? Clearing up Controversies.. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 10.2519/jospt.2018.0615
  2. Arent SM et al. (2020). Nutrient Timing: A Garage Door of Opportunity?. Nutrients. 10.3390/nu12071948