3分は1分に勝つ — セット間インターバルの答え、思ってるよりハッキリしてます。
3 studies · Schoenfeld 2016 RCT + 2024 meta-analysis
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みんなが間違えがちな数字
ジムでよく見るのは、セット間の休憩がだいたい60–90 secくらいの人です。テンポよく進むし、「代謝が回ってる感じ」もする。心拍も上がるし、時間もムダにしてない気がしますよね。
でも、正直に言うと、その理屈はほぼ外れてます。
8週間の筋トレで、1 min休むより3 min休んだほうが、筋力も筋肉の厚みもハッキリ伸びました(Schoenfeld et al., 2016)。しかも短い休憩のグループは、あとから追いついたわけじゃありません。測った項目ぜんぶで置いていかれたんです。
「休憩短い=筋肥大しやすい(ホルモンが上がる、代謝ストレスが〜)」って話、トレーニング界のしぶとい迷信のひとつになってます。
3 minのインターバルは、1 minより筋力もサイズも“測った全部”で上でした。
— Schoenfeld et al. (2016). Longer Interset Rest Periods Enhance Muscle Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men. J Strength Cond Res.
SchoenfeldのRCTが実際に示したこと
2016年にSchoenfeldらが、このテーマをかなりキレイに真正面から比べています。トレーニング経験のある男性21人を2グループに分けました。セット間の休憩は、片方が1 min、もう片方が3 min。
ここが大事なんですけど、他は全部同じ条件です。種目、セット数、レップ帯(8–12 RM)、週の頻度も、8週間ずっと同じ(Schoenfeld et al., 2016)。
結果はこうです。
- 1RMスクワットとベンチプレス:3 minグループのほうが有意に伸びました。
- 筋厚(肘屈筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋):前ももは3 minグループが有意に上。ほかの部位も長め休憩が有利っぽい傾向でした。
- もちろん1 minグループも強く大きくはなりました。でも伸び幅が「測って分かるレベル」で小さかったんです。
理由はシンプルです。長めに休むと、次のセットまでに回復できるものが増えます。ホスホクレアチンが戻る、乳酸が抜ける、次のセットで出せる力が落ちにくい。つまり、毎レップの出力が高いまま積み上がる=筋肉に入る刺激が大きくなる、ってことなんですよ。
2024年のメタ分析:効果は本物。でも期待ほどデカくはない
次はもう少し全体像です。2024年のベイズ・メタ分析(複数の研究を統合してまとめて見た分析)では、筋肥大に対して「休憩の長さがどれくらい効くのか」を、9本の研究と筋肉の測定19件ぶんで整理しています(Singer et al., 2024)。
結論を正直に言うと、長め休憩が勝ちやすい。でも差は控えめで、結果のブレ幅も重なります。
- 短い休憩(だいたい≤1 min):筋肥大の標準化平均差が0.48
- 長い休憩(だいたい≥2 min):標準化平均差が0.56
- 直接比較できるデータだと、長め休憩の上乗せは腕で+0.13 SMD、太ももで+0.17 SMD。ちゃんと差はあるけど、劇的ってほどでもないです(Singer et al., 2024)。
つまりどういうことか。
いつも45–60 secで急かしてるなら、筋肉の伸びを取りこぼしてる可能性が高いです。でも、2 minと5 minの差は、たぶん「誤差っぽい部分」も混ざってきます。
太ももの筋肥大は、短い休憩より長い休憩で+0.17 SMD。ただ、区間は重なります。
— Singer et al. (2024). Give it a rest: a systematic review with Bayesian meta-analysis on inter-set rest interval duration and muscle hypertrophy. Front Sports Act Living.
時計じゃなくて“感覚”で休むのはアリ?
ここ、面白い話があります。Simãoら(2022)のRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)では、上半身トレを8週間やって、
- 固定で75 sec休むグループ
- 自分で好きなだけ休む(SSRI)グループ
を比べました(Simão et al., 2022)。
SSRI(感覚で休む)グループは、4種目ぜんぶで合計レップ数が有意に多かったんです。
- チェストプレス:1回のセッション平均で 26.1 reps vs. 21.5 reps
- ショルダープレス:24.0 vs. 17.4 reps
でも、オチはここです。長期の筋力アップは、ほぼ同じでした(SSRI:平均~7.3%増、固定:~6.8%増)(Simão et al., 2022)。
感覚で「よし、いける」と思うまで休ませると、その日のボリュームは増えやすい。でも筋力の伸びは、最終的にだいたい同じところに落ち着く…そんな感じなんですよね。
この結果が言ってるのは、カラダって意外と休憩をうまく自己調整できるってことです。自然に2–3 min取ってるなら、たぶんそれで合ってます。逆に、タイマーに言われたからって60 secで無理やり急ぐのは、そこがミスになりやすいです。
じゃあ結局、何分休めばいい?
じゃあ実際どうするか。エビデンス的に筋が通る“使い分け”はこれです。
筋力狙い(1–5 rep、重め):3–5 min。
最大出力を出すには、ホスホクレアチンの回復がかなり必要です。ここを急ぐと、次のセットのパフォーマンスにそのまま上限がかかります。
筋肥大狙い(6–15 rep):2–3 min。
Schoenfeldの結果的にも、このへんがちょうどいい落としどころです。セットごとのレップの質を保ちつつ、休みすぎてトレ時間が無限に伸びるのも防げます。
筋持久力/サーキット:60–90 sec。
代謝系のキツさ(コンディショニング)が目的なら、短い休憩は“正解”です。ミスじゃありません。
迷ったら:SSRIでOK。
前のセットと同じレップ数を出せそう、と思えるまで休みましょう。Simão et al. (2022)を見る限り、これは「サボり」じゃなくて、ちゃんと根拠のあるやり方です。
あとSinger et al. (2024)からの注意点を1つ。限界までやる(フェイラー)か、限界手前で止めるかで、休憩時間と筋肥大の関係が大きく変わるわけではありません。だから「休憩は長めに」のアドバイスは、限界まで追い込む日でも、RIRで1–2回残す日でも当てはまりますよ。
今すぐやめてほしいこと
今日からやめたい習慣は2つです。
1. 何でもかんでも“とりあえず60 sec”で回すこと。
筋力や、ちゃんとした筋肥大が目的なら、コンパウンド種目の重いセットで1 minは短すぎます。SchoenfeldのRCTでは、同じ8週間・同じメニューでも、1 minグループは「測って分かるレベル」で成果が小さかったんです(Schoenfeld et al., 2016)。これは避けられる損ですよね。
2. “燃えるほど効いてる”と決めつけること。
短い休憩の「焼ける感じ」は、乳酸やGHが一時的に上がりやすいのは事実です。でも、そのホルモンの一瞬の上振れが、長期の筋肥大を分かりやすく押し上げるわけじゃありません。長めに休んだほうが有利、という結果が出ています(Singer et al., 2024)。
60 sec休憩が一番生きるのは、心肺を鍛えるコンディショニング系です。筋肥大トレの基本にはしないでいきましょう。
Planfitだと、ここがこう反映されます
Planfitの各プログラムには、最初からセット間インターバルが組み込まれていて、その日の目的(筋力・筋肥大・持久力)に合わせて調整されています。
重いコンパウンド種目の日なら、アプリが自動で3 min休憩を促します。筋肥大ブロックに切り替えたら、2 minに短くなります。感覚で進めたいなら、SSRI(自分で休憩を決めるモード)もオンにできますよ(Simão et al., 2022の結果とも整合します)。
手動でいじる必要なし。あとはトレするだけです。
参考文献
- Schoenfeld BJ, Pope ZK, Benik FM, et al. (2016). Longer Interset Rest Periods Enhance Muscle Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men.. Journal of Strength and Conditioning Research. 10.1519/JSC.0000000000001272
- Singer N, Fitzgerald JS, Kline JR, et al. (2024). Give it a rest: a systematic review with Bayesian meta-analysis on the effect of inter-set rest interval duration on muscle hypertrophy.. Frontiers in Sports and Active Living. 10.3389/fspor.2024.1429789
- Simão R, Polito M, de Salles BF, et al. (2022). Acute and Long-Term Comparison of Fixed vs. Self-Selected Rest Interval Between Sets on Upper-Body Strength.. Journal of Strength and Conditioning Research. 10.1519/JSC.0000000000003606