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クレアチンは心臓に悪くない——むしろ2016年のメタ分析では死亡率が下がっています

4 studies · meta-analysis + 2 reviews

「クレアチンって心臓に悪いんじゃ…?」と思っているなら、結論は逆です。41本の比較試験をまとめたメタ分析で、心臓まわりの研究が何を示しているかをわかりやすく整理します。

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クレアチンは心臓に悪くない——2016年の41試験メタ分析では、心臓疾患患者3,400人でホスホクレアチンが全死亡を29%下げました

怖がる方向が逆です

クレアチンは心臓に負担がかかる、って心配されがちですよね。でも、その心配は方向が真逆なんです。

心臓は「ホスホクレアチン」という物質で動いています。サプリで飲むクレアチンが体内で使われる形(リン酸がくっついた形)で、心筋が1回1回ちゃんと収縮し続けるための大事なエネルギー源のひとつなんですよ。心臓のホスホクレアチンが減ってくると、そこで問題が起きやすくなります (Del et al., 2022)。

だから本当の問いは「クレアチンは心臓にストレスをかけるの?」じゃありません。むしろ「心臓にそれが足りないと、何が起きるの?」なんです。

心臓では「多すぎる」より「足りない」ほうが問題です。クレアチン不足は、病気の重さや収縮の弱さと結びつきます。

Del et al. (2022). Creatine deficiency and heart failure. Heart Fail Rev.

ホスホクレアチンが心臓でやっていること

心臓はATP(細胞がそのまま使うエネルギー)をあまり貯めておけません。そこでホスホクレアチンが「すぐ使える予備バッテリー」みたいな役割をして、ミトコンドリア(作る場所)と筋線維(使う場所)の間でエネルギーを素早く受け渡ししています。

この仕組みは「クレアチンキナーゼのエネルギーシャトル」と呼ばれていて、心臓は体の中でも特にこれに頼っている臓器なんです。心不全では、ATPが下がるより先にホスホクレアチンが落ちます (Del et al., 2022)。しかも、その落ち方が大きいほど病気が重くて、心臓の収縮も弱いんですよね。

ここ、枝葉じゃないです。まさに核心です。クレアチン(ホスホクレアチン)が減ることは、心臓が落ちていくサイン——そして原因側に回っている可能性もあります。

話をひっくり返す2016年のメタ分析

2016年、研究者たちが比較試験41本(うち32本はRCT)をまとめて分析しました。対象は、冠動脈疾患・慢性心不全・心臓手術を受ける患者さんなどで、ホスホクレアチンを直接投与すると何が起きるかを見ています。

結果は、はっきりしていました。

- 全死亡が29%低下(3.5% vs 10.6%; OR: 0.71)(Landoni et al., 2016)
- 左室駆出率(心臓がどれだけ押し出せているかの指標)が3.82 percentage points高い (Landoni et al., 2016)
- 心筋ダメージの目安になる心筋酵素のピーク放出が6.08 units低い (Landoni et al., 2016)

22本の試験、患者3,400人で「死亡率が下がった」というデータです。これ、たまたまの小ネタじゃないんですよ。

虚血・不整脈・線維化にも「守る側」で働きます

心不全だけの話じゃありません。2024年のレビューでは、ホスホクレアチンが臨床で使われていて、虚血性心疾患(心臓への血流が足りない状態)、不整脈、心筋線維化、心筋炎、そして心筋梗塞(いわゆる心臓発作)後のダメージなどに対して扱われている、とまとめています (Wang et al., 2024)。

守り方も1つじゃないんです。ホスホクレアチンは細胞死(アポトーシス)を減らしたり、酸化ストレス(心臓イベントの前後で溜まりやすい細胞ダメージ)を下げたりします。さらに、傷ついたあとに回復を助けるシグナル経路も動かします (Wang et al., 2024)。

もう一度言いますね。これは「害が出る仕組み」じゃありません。真逆です。

ホスホクレアチンは、虚血性心疾患・不整脈・心筋炎などで「心臓を守る薬」として臨床で使われています。

Wang et al. (2024). Clinical applications of phosphocreatine and related mechanisms. Life Sci.

なぜ怖がられるのか——そして、なぜ筋が通らないのか

クレアチンと心臓の不安って、だいたい原因は2つです。

1. 血液検査のクレアチニン。 クレアチンは体内でクレアチニンに分解されて、腎臓がろ過して排出します。サプリを飲むとクレアチニンが少し上がることがあって、医師が腎臓や心血管のストレスを疑うケースがあります。でも健康な人なら、これは「クレアチンの回転が増えた分の自然な副産物」であって、ダメージとは別物です。

2. アナボリックステロイドとごっちゃになる。 クレアチンはステロイドじゃありません。ステロイドは本当に心臓リスクがあり得ます(左室肥大、駆出率の低下、不整脈など)。でもクレアチンには、その手の仕組みがありません。グリシンとアルギニンといったアミノ酸から、体がもともと作っている成分です。

それと、2012–2021のRCT16本をまとめたスコーピングレビュー(筋肥大目的のクレアチンサプリ)でも、どの研究でも心臓の安全性で問題は指摘されていませんでした (Wu et al., 2022)。小規模な話じゃなくて、若い健康な人から高齢者、臨床集団まで含んでいます。

トレーニング的にはどう考える?

ウエイトをやっている健康な人なら、クレアチンモノハイドレートは「研究され尽くしてる側」のサプリです。そして心臓に関しては、研究の方向性は1つ。害は見えず、ニュートラル〜守る方向なんですよ。

基本の摂取量は1日3–5 gです。ローディングは必須じゃありませんけど、早く満たしたくて20 g/dayを5–7日やる人もいます。どちらにしても、この範囲の長期使用で心血管系の悪いサインは文献上ほぼ出ていません。

すでに心疾患があるなら、そこは主治医と相談しましょう。ただ、臨床研究ではホスホクレアチン(同じ分子)が「避けるもの」じゃなくて、むしろ心臓の治療に使われている側なんです。

トレーニングの話に戻すと、クレアチンはbarbell rowbench pressみたいなコンパウンド種目で、もう1レップ粘れたり、少し重くできたりします。で、その積み重ね——漸進性過負荷——が筋肉を育てる本体です。詳しくはprogressive overload trainingで押さえておきましょう。

How Planfit applies this

クレアチンは、筋肉が使えるエネルギーを増やしてくれます。でも、それが「本当の伸び」になるかどうかは、セッションでちゃんと漸進性過負荷をかけられているか次第なんですよね。Planfitなら、毎回の重量・レップ・セットを全部記録できるので、サプリを入れたあとにパフォーマンスがいつどう変わったかが数字で見えます。勘やプラセボじゃなくて、答えはログに出ます。

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References

  1. Landoni G et al. (2016). Cardiac protection with phosphocreatine: a meta-analysis.. Interact Cardiovasc Thorac Surg. 10.1093/icvts/ivw171
  2. Del Campo A et al. (2022). Creatine deficiency and heart failure.. Heart Fail Rev. 10.1007/s10741-021-10173-y
  3. Wang Y et al. (2024). Clinical applications of phosphocreatine and related mechanisms.. Life Sci. 10.1016/j.lfs.2024.123012
  4. Wu SH et al. (2022). Creatine Supplementation for Muscle Growth: A Scoping Review of Randomized Clinical Trials from 2012 to 2021.. Nutrients. 10.3390/nu14061255