クレアチンは心臓に悪くない——むしろ2016年のメタ分析では死亡率が下がっています
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心配すべきはそこじゃないんです
クレアチンは心臓に負担がかかる、ってよく聞きますよね。でも正直に言うと、その心配は逆なんです。
心臓は「ホスホクレアチン」という物質で動いています。サプリで摂るクレアチンがリン酸化された形で、心筋が1拍1拍しっかり収縮するためのエネルギー源のひとつなんですよ。心臓のホスホクレアチンが減ってくると、そこで問題が起きやすくなる——研究でもそう示されています(Del Franco et al., 2022)。
だから質問は「クレアチンは心臓にストレスをかけるの?」じゃありません。本当は「心臓にクレアチン(ホスホクレアチン)が足りないと、何が起きるの?」なんです。
心臓のクレアチンは「多すぎ」が問題じゃなくて、「足りない」ことが病気の重さや収縮の弱さと結びつきます。
— Del Franco et al. (2022). Creatine deficiency and heart failure. Heart Fail Rev.
ホスホクレアチンが心臓でやっていること
心臓はATP(細胞がそのまま使うエネルギー)をあまり貯めておけません。そこでホスホクレアチンが「すぐ使えるエネルギーの予備タンク」みたいな役割をして、ミトコンドリア(作る場所)と筋線維(使う場所)の間でエネルギーを素早く受け渡ししています。
この仕組みは「クレアチンキナーゼのエネルギーシャトル」と呼ばれていて、心臓は体の中でも特にこれに頼っている臓器なんです。心不全では、ATPが落ちるより先にホスホクレアチンが先に下がることがわかっています(Del Franco et al., 2022)。しかも、その下がり方が大きいほど病気が重く、心臓の収縮も弱くなりやすいんですよね。
これは枝葉の話じゃありません。まさに「どうして悪くなるのか」の中心です。クレアチンが減っていることは、心臓の落ち込みのサインであり、場合によっては原因側にもなり得ます。
流れをひっくり返した2016年のメタ分析
ここが一番大事なんですけど、2016年に研究者たちが41本の比較試験(うち32本はRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験))をまとめて、「ホスホクレアチンを患者さんに直接投与したらどうなるか」を見ています。対象は冠動脈疾患、慢性心不全、心臓手術を受ける人たちです。
結果はかなりハッキリしていました。
- 全死亡が29%低下(3.5% vs 10.6%; OR: 0.71)(Landoni et al., 2016)
- 左室駆出率(心臓がどれだけしっかり血液を押し出せているかの指標)が3.82ポイント高い(Landoni et al., 2016)
- 心筋ダメージの目安になる酵素(CK-MB)のピークが6.08 units低い(Landoni et al., 2016)
22本の試験、患者3,400人で「死亡率が下がった」というデータです。これはさすがに無視できないですよね。
虚血・不整脈・線維化にも「守る方向」に働く
心不全だけの話じゃないんです。2024年のレビューでは、ホスホクレアチンが臨床で使われている領域として、虚血性心疾患(心臓への血流が足りない状態)、不整脈、心筋の線維化、心筋炎、そして心筋梗塞(いわゆる心臓発作)後のダメージなどが挙げられています(Wang et al., 2024)。
守り方も1つじゃありません。ホスホクレアチンは細胞死(アポトーシス)を抑えたり、酸化ストレス(心臓イベントの前後で溜まりやすい細胞ダメージ)を下げたりします。さらに、傷ついたあとに心臓が回復しやすくなるシグナル経路も動かすとされています(Wang et al., 2024)。
もう一度言いますね。これは「害が出る仕組み」じゃありません。むしろ正反対です。
ホスホクレアチンは、虚血性心疾患や不整脈、心筋炎などで「心臓を守る薬」として臨床で使われています。
— Wang et al. (2024). Clinical applications of phosphocreatine and related mechanisms. Life Sci.
なぜ怖がられるのか——そして、なぜ成り立たないのか
クレアチンと心臓の不安って、だいたい原因は2つです。
1. 血液検査のクレアチニン。 クレアチンは体内でクレアチニンに分解されて、腎臓でろ過されます。クレアチンを飲むとクレアチニンが少し上がることがあって、医師が「腎臓や心血管に負担?」と気にするケースがあります。でも健康な人なら、これはクレアチンの回転が増えたことによる“普通の副産物”で、ダメージとは別物です。
2. アナボリックステロイドとごっちゃになる。 クレアチンはステロイドじゃありません。ステロイドは本当に心臓リスクがあり得ます(左室肥大、駆出率の低下、不整脈など)。でもクレアチンにはその仕組みがありません。グリシンとアルギニンなどのアミノ酸から、体がもともと作っている成分です。
筋肥大目的のクレアチンサプリについて、2012–2021のRCTを16本まとめたスコーピングレビューでも、心臓の安全性で問題が指摘されたものはありませんでした(Wu et al., 2022)。小さい研究ばかりじゃなくて、若い健康な人、高齢者、臨床集団まで含んでいます。
トレーニング的には、どう考える?
健康な状態でウエイトをしているなら、クレアチンモノハイドレートはサプリの中でも研究がかなり多い部類です。そして心臓まわりのデータが示す方向は1つ。「害は見えない。むしろ守る可能性がある」です。
基本の摂り方は1日3–5 g。ローディングは必須じゃありませんが、早く満たしたくて20 g/dayを5–7日やる人もいます。どちらにしても、この範囲の長期使用で心血管に悪いサインは文献上ほぼ出ていません。
すでに心疾患があるなら、そこは主治医と相談しましょう。ただ、臨床研究ではホスホクレアチン(同じ分子)が「避けるもの」じゃなくて、むしろ心臓の治療に使われている側なんですよね。
トレーニングの話に戻すと、クレアチンはbarbell rowやbench pressみたいなコンパウンド種目で「あと1レップ」「ちょい重く」を出しやすくしてくれます。で、その積み重ね(漸進性過負荷)が筋肥大を作る——この話はprogressive overload trainingで詳しく触れました。
Planfitだと、ここをこう活かせます
クレアチンは「筋肉が使えるエネルギー」を増やしてくれます。でも、それが本当の伸びにつながるのは、セッションでちゃんと漸進性過負荷をかけられているときだけなんですよね。Planfitなら、毎回の重量・レップ・セットを全部記録して、サプリを入れたあとにパフォーマンスがいつ変わったかを数字で追えます。勘やプラセボじゃなくて、答えはログに出ます。
参考文献
- Landoni G et al. (2016). Cardiac protection with phosphocreatine: a meta-analysis.. Interact Cardiovasc Thorac Surg. 10.1093/icvts/ivw171
- Del Franco A et al. (2022). Creatine deficiency and heart failure.. Heart Fail Rev. 10.1007/s10741-021-10173-y
- Wang Y et al. (2024). Clinical applications of phosphocreatine and related mechanisms.. Life Sci. 10.1016/j.lfs.2024.123012
- Wu SH et al. (2022). Creatine Supplementation for Muscle Growth: A Scoping Review of Randomized Clinical Trials from 2012 to 2021.. Nutrients. 10.3390/nu14061255