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部分痩せは(ほぼ)都市伝説。でも2023年のRCTで「体幹の脂肪」にちょい有利が出ました

2 RCTs · Brobakken 2023 + Zourmand 2025

腹筋だけでお腹の脂肪は落ちません。じゃあ研究では何が起きてたのか?2つのRCTの結果と、トレーニングへの落とし込みをまとめます。

1分で読了

部分痩せは(ほぼ)都市伝説。でも2023年のRCTで「体幹の脂肪」にちょい有利が出ました

よくある思い込み:鍛えた筋肉の上の脂肪が落ちる

もう何回も聞いたことありますよね。腹筋をたくさんやればお腹の脂肪が消える。レッグレイズをやれば内ももが細くなる。気になる場所を動かせば、そこが痩せる…みたいな。

でも、脂肪の落ち方はそんなに都合よくできてないんです。脂肪は「その筋肉のすぐ近く」から優先的に分解されて血液に流れ出すわけじゃありません。どこから脂肪を引っ張ってくるかは、遺伝やホルモン、そして全体のエネルギー需要(どれだけ消費してるか)で、カラダ側が決めます。

こういう「その部位を動かせば、その部位の脂肪が落ちる」という考え方を、いわゆる部分痩せ(spot reduction)と言います。で、運動科学の結論は長い間ずっと同じで、基本は「効かない」です。とはいえ最近のRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)が2本あって、ちょっとだけ話を面白くしてくれます。ただ、判定がひっくり返るほどではありません。

脂肪が「その場で燃える」わけじゃない理由

運動すると筋肉は燃料を必要とします。その燃料の一部は脂肪から来ますけど、脂肪はいったん分解されて、血液中に遊離脂肪酸(FFAs)として出て、そこから働いている筋肉まで運ばれて、ようやく使われます。

部分痩せが難しい理由はここです。分解されて動員される脂肪は、動かしている筋肉の近くから来る必要がないんですよね。カラダは全身の脂肪を「まとめて」使います。運動で出るホルモンの合図(主にアドレナリン)に反応しやすい脂肪細胞から、順番に引き出されるイメージです。

つまり、どこから脂肪が出てくるかは選べません。カラダが決めます。

だから、1回のトレで腹筋を1,000回やっても、お腹だけが優先的に小さくなるわけじゃないんです。腹筋でカロリーは使います。でも「お腹のカロリー」だけを狙い撃ちして燃やしてるわけではない、ってことですね。

脂肪がどこから出てくるかは選べません。カラダが決めます。

研究はどう言ってる?みんながザワついた2023年のRCT

ここからが面白いところです。2023年のRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)で、体重が多めの男性16人に10週間トレーニングしてもらいました。

1つ目のグループはトレッドミルでラン(45 min、最大心拍数の70%)。もう1つのグループは、同じトレッドミルに加えて、体幹のローテーションと腹筋クランチを4セット。しかも、総消費カロリーが同じになるように調整して、どっちのグループも「トータルでは同じだけ」カロリーを燃やす設計にしています。

結果はこうです。腹筋種目を足したグループのほうが、体幹の脂肪が697 g多く減りました。割合で言うと7%減で、トレッドミルだけのグループは有意な変化なし(Brobakken et al., 2023)。

「え、部分痩せあるじゃん」と思いますよね。でも、ここでメニューを全部作り替える前に、細かいところも見ておきましょう。

全身の体脂肪の減り方は、実はかなり近いんです。1,705 g vs 1,134 gで、どっちも統計的に有意で、同じくらいの範囲。腹筋グループの“体幹ちょい上乗せ”は、全体の脂肪が同じくらい落ちた上での小さな差であって、「狙った場所がドロドロ溶けた」みたいな話ではありません。

それにサンプルは16人。正直、これだけで「決着」とは言えないですね。

体幹の脂肪は腹筋種目を足したグループで697 g多く減りました。でも全身の脂肪減はほぼ同じでした。(Brobakken et al., 2023)

Brobakken MF et al. (2023). Abdominal aerobic endurance exercise reveals spot reduction exists. Physiol Rep.

部位狙い vs 全身:2025年のRCT(女性60人)

もう1本、2025年のRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)では、肥満の女性60人を3グループに分けて、12週間・週3回トレーニングしました(Zourmand et al., 2025)。

- 一般的な有酸素:トレッドミルとバイク
- 部位狙いの有酸素:腹部と下半身を狙ったリズミカルな運動
- 組み合わせ:一般15分 + 部位狙い15分

結果としては、どのグループも体重が落ちて、ウエスト・ヒップ比(お腹まわりの脂肪の目安)が改善しました。中でも一番よかったのは組み合わせグループで、体重-6.4%、ウエスト・ヒップ比-13.1%、血中FFAsとインスリンの低下も最大でした。

ただ、ここが大事なんですけど、全身の脂肪減では「一般的な有酸素」が「部位狙い」を上回りました。 つまり、気になる場所を狙って動かしていたグループのほうが、ただ普通に全身の有酸素をやっていたグループより、トータルの脂肪が落ちにくかったんです。

結局、悩みの部位を動かすこと自体が“優先的にそこを細くする”わけじゃありません。全身をしっかり動かすほうが、ちゃんと落ちます。

全身の脂肪減では、部位狙いの運動より一般的な有酸素のほうが上でした。狙い撃ちしてても、です。(Zourmand et al., 2025)

Zourmand et al. (2025). Impact of regional and general aerobic exercise on molecular regulators of lipolysis. Cell Mol Biol.

じゃあ部分痩せって、結局あるの?ないの?

正直に言うと、答えはこうです。小さくは“あるかも”しれない。でも、みんなが想像してる仕組みじゃないし、全身の脂肪減の代わりにはなりません。

Brobakkenら(2023)のRCTを見ると、「全身の有酸素をやりつつ、その部位も動かす」と、同じ有酸素だけより、その部位の脂肪がちょっとだけ落ちやすい可能性はあります。

研究者が考えている理由は、動かしている筋肉のすぐ下や周りの脂肪(局所の脂肪組織)が、脂肪を分解するホルモンの合図に反応しやすくなるかもしれない、というものです。血流が増えたり、動きの刺激が直接入ったり、という話ですね。

でも、ここで勘違いしないでください。

- 腹筋だけでお腹の脂肪が落ちる、という意味ではありません。 Brobakkenの研究でも、両グループとも1回あたり27–45 minutes走っています。腹筋は「有酸素の代わり」じゃなくて「上乗せ」です。
- 効果が大きいわけでもありません。 10週間で追加697 gは“ゼロではない”けど、あくまで控えめ。しかも16人の研究です。
- 筋トレで同じように起きるとは限りません。 どちらの研究も、局所の運動は筋トレではなく有酸素でした。リズミカルに続ける軽めの動きであって、重りを持った腹筋を限界まで…みたいな話とは別物です。

トレーニングにどう落とし込む?

「この部位の脂肪を落としたい」がゴールなら、研究が後押ししてくれるのはこのやり方です。

1. まずは全身の脂肪を落とすのを最優先。 全身を動かす一般的な有酸素のほうが、部位狙いだけより全体の脂肪が落ちます(Zourmand et al., 2025)。ここは近道がないんですよね。

2. その下の筋肉は“狙って育てる”。 脂肪は部分痩せしにくいけど、筋肉は部分的に育てられます。筋肉がつくと密度が上がって形が変わるので、「引き締めたい」の正体はこっちだったりします。ここは筋トレ、しかも漸進性過負荷が効きます。やり方は progressive overload training を見てください。

3. 部位狙いの有酸素を足すなら、“置き換え”じゃなく“追加”。 Zourmand 2025のRCTでは、組み合わせグループが一番よかったです。全身の有酸素に15分だけ部位狙いを足す、みたいな形なら、局所の脂肪に小さな追加刺激が入るかもしれません。でも、全身トレの代わりにはならないです。

4. 狙った部位の量より、セッション全体のボリュームを追う。 脂肪減にも筋肥大にも効きやすいのは、「どこを狙ったか」より「セッション全体でどれだけやったか」です。データの話は how many sets per workout にまとめています。

Planfitではこう考えます

部分痩せに期待するより、効くのは「トータルのトレーニング負荷」です。Planfitは1回のセッション全体を組み立てます。全身の筋群から種目を選んで、扱う重量とレップ帯を提案して、ボリュームも記録。毎回ちゃんと前回より積み上がるように管理します。

減量が目的なら、コツコツ漸進性過負荷を続けつつ、全身のトレーニング量を確保するのが一番効きます。1部位だけを隔離して「この上の脂肪だけ落ちろ」と祈るより、ずっと確実です。Planfitは全体像を見失わないようにして、やってもリターンが薄いセッションを減らします。

Planfitではこう考えます

部分痩せに期待するより、効くのは「トータルのトレーニング負荷」です。Planfitは1回のセッション全体を組み立てます。全身の筋群から種目を選んで、扱う重量とレップ帯を提案して、ボリュームも記録。毎回ちゃんと前回より積み上がるように管理します。

減量が目的なら、コツコツ漸進性過負荷を続けつつ、全身のトレーニング量を確保するのが一番効きます。1部位だけを隔離して「この上の脂肪だけ落ちろ」と祈るより、ずっと確実です。Planfitは全体像を見失わないようにして、やってもリターンが薄いセッションを減らします。

参考文献

  1. Brobakken MF et al. (2023). Abdominal aerobic endurance exercise reveals spot reduction exists: A randomized controlled trial.. Physiol Rep. 10.14814/phy2.15853
  2. Zourmand et al. (2025). Impact of regional and general aerobic exercise on molecular regulators of lipolysis and adipose tissue composition in obese women.. Cell Mol Biol (Noisy-le-grand). 10.14715/cmb/2025.71.10.15