RPE vs RIR:どこまで追い込む?を1つの数字で決める — 研究4本で整理
4 studies · 2 RCTs · J Strength Cond Res
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ジムの「勘」を数字に変える2つの指標
毎セット限界までやらなくても、ちゃんと伸びます。大事なのは「限界まであとどれくらいか」をわかっていることなんですよね。
そこで使えるのがRPEとRIRです。RPE(Rating of Perceived Exertion)は、セットがどれくらいキツく感じたかを1–10で表す目安です。10は完全に限界、もう1回も上がらない状態。RPE 7なら「あと3レップはいけたな」という感覚です。RIR(Repetitions In Reserve)は、その裏返しで、「あと何回残ってたか」をそのまま数で言います。RPE 7 = RIR 3、RPE 8 = RIR 2。見方が違うだけで、言ってることは同じなんです。
今でも多いのが、1RM(1回だけ挙げられる最大重量)の%でメニューを組むやり方ですよね。でも問題があります。寝不足の日の80%と、コンディション最高の日の80%って、体感がまるで違います。固定の%だと、今日のカラダの状態が反映されないんです。その点、RPEとRIRは違います。その場の感覚に合わせて、リアルタイムで自然に調整できます。
RIRで組んでも、全力(限界)に負けない — むしろ勝つこともある
最初にみんなが気にするのはこれです。「限界までやらないと、伸びしろ捨ててません?」ってやつ。
結論から言うと、少なくとも筋力とパワーに関しては「ほぼ心配いりません」。
RCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)で、17歳未満の女子バスケ選手14人を2つの8週間プログラムに分けた研究があります。片方は毎回限界まで(最大努力、RM)。もう片方は毎セットRIR 3、つまり「3回残す」やり方で進めました。RPEの目安だと7くらいですね(Arede et al., 2020)。
結果は、どっちのグループも全テストで伸びました。ただ、RIRグループはベンチプレス1RMの伸びが有意に大きく、効果量も大きめでした(η²p = 0.40)。スプリント、ジャンプ、アジリティは両方とも同じくらいのペースで改善。著者たちは「シーズン中は、限界まで追い込み続けるより、回数を残すほうが賢い」とまとめています。伸びは作れて、回復コストが少ないからです(Arede et al., 2020)。
この「回復コスト」って、実はかなり大事なんですよ。毎セット限界まで粘ると、疲労が一気に溜まります。疲れてくると後半セットでレップが落ちて、結果的に総ボリュームが減ります。で、筋肥大を予測するのは結局この総量だったりしますよね — how many sets per workout。
RIRベースのトレーニングは、8週間でベンチプレスの筋力を有意に大きく伸ばしました — 限界セットは1回もなし。
— Arede et al. (2020). Repetitions in reserve vs. maximum effort resistance training programs in youth female athletes. J Sports Med Phys Fitness.
精度の問題:RIRは「経験者ほど当てられる」
ただし落とし穴もあります。RIRは「あと何回残ってるか」をちゃんと感じ取れないと機能しません。
そこを真正面から調べた研究があります。大学生年代の男性27人(ベンチ経験者14人:平均トレ歴4.7年、初心者13人:平均1.1年)が、ベンチプレスを1RMの60%、75%、90%で行い、そのあとRIRベースのRPEを報告しました(Ormsbee et al., 2019)。
経験者のほうが明らかに正確でした。1RMのとき、経験者の平均RPEは9.86。ほぼ10で、これは正解に近いです。一方で初心者は同じ負荷を軽く見積もりました。さらに、最大努力でバーを速く動かしていて、「限界がどんな感覚か」をまだ体で掴めていない可能性が示唆されています。いわゆる“体内のフィードバック”が育ってない感じですね(Ormsbee et al., 2019)。
別の研究では、対象を高齢者(平均年齢68歳)に変えて、1RMの65%で同じように検証しています。RIR 2(あと2回残す)で止めてください、と言うと、実際は「思ってたよりもっと残して」止めていました。平均で2.1レップ分ズレていたんです。RIR 4でも1.6レップ分ズレ。RIR 6みたいにかなり余裕があるところで、ようやく正確でした(Gómez-Redondo et al., 2025)。
限界に近いほど、見積もりは難しくなります。でも、セット数を積んで「限界の感覚」を知ってくると、ちゃんと当てられるようになりますよ。
RPEは「重量」だけじゃなく「部位・種目」でも変わる
もう1つ、つまずきやすいポイントがあります。同じ%でも、種目が違うとキツさは同じになりません。
初心者29人に10RMテストをやってもらった研究では、RPE/RIRは下半身種目のほうが上半身種目より有意に高く出ました。しかも50%〜100%のどの負荷でも同じ傾向です(Cavarretta et al., 2022)。要するに、最大の80%でやるスクワットは、最大の80%でやるベンチよりキツく感じやすいってことですね。%が同じでも、体感は同じじゃないんです。
同じ相対負荷でも、フリーウェイトはマシンよりキツく感じやすいという結果も出ています。バーベルスクワットやベンチみたいなフリーは、バーを安定させるための協調(いろんな筋肉の連携)が必要になります。そのぶん「しんどさ」は増えるけど、狙った筋肉への刺激が同じだけ増えるとは限らない、という話です(Cavarretta et al., 2022)。
実践のポイントはシンプルです。セッション内の全種目を「全部RPE 8で統一!」みたいにすると、努力感が揃ってる前提が崩れます。80%のデッドリフトのRPEと、80%のケーブルカールのRPEは、カラダの中で起きてることが別物なんですよね。
下半身種目は、テストした全負荷で上半身種目よりRPEが有意に高く出ました — 同じ%でも、同じ努力じゃありません。
— Cavarretta et al. (2022). The Effects of Increasing Training Load on Affect and Perceived Exertion. J Strength Cond Res.
RPEとRIRを現場でどう使う?
じゃあ実際どう使うか。今日はここだけ押さえておきましょう。
初心者(継続トレ1年未満)なら: RIR 4–6がおすすめです。「あと4〜6回残ってる」と感じたところで止めるイメージ。控えめに聞こえるかもしれませんけど、研究を見ると実際は自分が思ってるより限界に近いことが多いんです。初心者に出やすい“見積もりのズレ”から守ってくれます(Gómez-Redondo et al., 2025)。慣れてきて感覚が鋭くなったら、少しずつ狭めていけばOKです。
中級〜経験者なら: 多くのセットはRIR 2–3(RPE 7–8)を基本ゾーンにしましょう。限界に十分近くてカラダが応えてくれるのに、毎回ゼロまで潰すほど回復を削らずに済みます(Arede et al., 2020)。RIR 0–1は最後の1セットだけ、とか、テストの日に取っておくのがちょうどいいです。
種目で調整: スクワット、deadlift、ローイングみたいな大きいコンパウンド種目は、自然とRPEが高めに出ます。普通のことなので、無理に全部同じRPEに合わせなくて大丈夫ですよ。
週ごとに調整: 同じ重量なのに、セッションを追うごとにRPEが下がってきたら「そろそろ重量を足す合図」です。これがprogressive overload training。RIR/RPEは、まさにこの原則をブレずに回すための道具なんです。
Planfitではこう活かしています
Planfitは、トレーニングレベルに合わせて各種目のおすすめ重量とレップ範囲を設定します。セットを記録していくと伸びを追跡して、「そろそろ重量を上げどき」を教えてくれるので、RIRを勘で当てなくても、いつも狙った努力感ゾーンで回せます。休憩はタイマーで管理できますし、種目ごとの履歴で「最近ラクになってきた?」「ちゃんとキツい?」もすぐ確認できます。
参考文献
- Arede J et al. (2020). Repetitions in reserve vs. maximum effort resistance training programs in youth female athletes.. J Sports Med Phys Fitness. 10.23736/S0022-4707.20.10907-1
- Gómez-Redondo P et al. (2025). Validity of repetitions in reserve for prescribing resistance exercise in older adults.. Exp Gerontol. 10.1016/j.exger.2025.112884
- Cavarretta DJ et al. (2022). The Effects of Increasing Training Load on Affect and Perceived Exertion.. J Strength Cond Res. 10.1519/JSC.0000000000003393
- Ormsbee MJ et al. (2019). Efficacy of the Repetitions in Reserve-Based Rating of Perceived Exertion for the Bench Press in Experienced and Novice Benchers.. J Strength Cond Res. 10.1519/JSC.0000000000001901