デッドリフトは1回あたり3–5セットで十分 — 2022年のRCTが「2セット vs 5セット」でわかったこと
5 studies · Sports Med meta-analysis
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結論:1回あたりメインセットは3–5セット
今日は数字だけ覚えて帰りましょう。デッドリフトは1回あたりメインセット3–5セットで、筋力はちゃんと伸びます。 10セットもいりません。8セットもいりません。3〜5です。
Sports Medicineの2020年のメタ分析は、すでにトレーニングしている人がパワーリフティング種目(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)の1RMを伸ばすのに必要な「最小有効刺激」をチェックしました。結果はわりと衝撃で、週1セットでも伸びる可能性はあります。でも現実的に「ここがちょうどいいよね」という落としどころは、週の総量が低めのところに来ます。多くの人が、そこを軽く超えすぎてるんですよね(Androulakis-Korakakis et al., 2020)。
だからといって「じゃあ1セットだけやって帰ろう」って話じゃないです。言いたいのは、必要な量って思ってるよりずっと少ないってこと。で、増やした分がいつも得になるとは限らない、ということなんです。
トレ歴がある人でも、デッドリフトの1RMは「多くのメニューが指示する量」よりずっと少ない量で伸びます。
— Androulakis-Korakakis et al. (2020). The Minimum Effective Training Dose Required to Increase 1RM Strength. Sports Med.
セット数をガチで比べたら、実際どうだった?
2022年のRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)では、トレーニング経験のある男性20人を2グループに分けて、デッドリフト/スクワット/ベンチプレス/ショルダープレスを65% 1RMでやらせました。内容はシンプルで、高ボリューム(5セット)か、低ボリューム(2セット)かの違いです(Hackett, 2022)。
で、どっちも強くなりました。しかもこの「1回のセッション内での比較」だと、5セット組が2セット組より筋力が有意に伸びたわけではありませんでした。
一方で、5セット組は別の“代償”が出ています。呼吸に関わる筋力が10%落ちたんです。最大吸気圧(MIP)が高ボリューム後に中央値で10.0%低下して、低ボリューム後は有意な変化なし。40分以内に戻ったとはいえ、全身の疲労がちゃんと出たサインですよね(Hackett, 2022)。
セットを増やすほど回復コストは上がります。伸びが同じくらいなら、そのコストは無視できません。
デッドリフトが「別格」な理由
デッドリフトって、たぶんジムでできる種目の中でもトップクラスに“全身にくる”種目です。1つの動きで動員する筋肉が多すぎます。背中、臀部、ハム、僧帽筋、前腕、体幹…全部まとめて、重い負荷の下で同時に働きます。
だからパワーリフターは試合前の調整(テーパー)で、まずデッドリフトからボリュームを落とすんです。パワーリフティングのパフォーマンスをまとめた「論文を何十本もまとめて分析した大きな調査」でも、デッドリフト→スクワット→ベンチの順でボリュームを削る傾向が確認されています(Ferland et al., 2019)。多くの人が感じている“キツさのイメージ”と逆なんですよね。結局、デッドリフトが一番回復を食います。
だからこそ、セット数は低めに寄せるのが理にかなってます。 同じ週にスクワットもやるなら、なおさらです。
パワーリフターはデッドリフトから先にテーパーします。スクワットより先、ベンチより先。回復の要求がそれだけ大きいんです。
— Ferland et al. (2019). Classic Powerlifting Performance: A Systematic Review. J Strength Cond Res.
セット数より大事:強度が合ってるか(RPEでチェック)
セット数って、重量が合って初めて意味が出ます。軽すぎたら5セットやっても効きません。重すぎてフォームが崩れたら、3セットでも腰が終わります。
そこで使えるのがRPEです。どれくらいキツいかを、あと何レップ残ってそうかで点数化するやつですね。パワーリフター15人を調べた研究では、RPEと実際に扱っている1RM%(デッドリフト/スクワット/ベンチ)がかなり強く結びついていました(r = 0.88–0.91)(Helms et al., 2017)。つまり、「キツさ」は「実際の重さ」をわりと正確に教えてくれるってことなんです。
デッドリフトで筋肥大も筋力も狙うなら、目安はRPE 7–8。10段階で7〜8くらいのきつさで、RIR 2–3(あと2〜3回は残せる)です。だいたい75–85% 1RMあたりですね。2023年のRCTでは、75–85% 1RMでデッドリフトを3–4セットやって、29日で有意に筋力が伸びています(Triki et al., 2023)。
もし毎セットがRPE 10なら、5セットやってるようで実は違います。「限界の1セット」を5回繰り返して、しかも毎回フォームが悪くなる…それになりがちなんですよ。
実践メニュー:デッドリフトのセットの組み方
じゃあ、この数字を実際のトレーニングに落とし込みましょう。
筋力狙い(1RMを上げたい):
80–90%の1RMで2–5レップを3–5セット。RPEは8–9に揃えます。セット間は3分以上休みましょう — how long should you rest between setsで、休憩が短いと出力が落ちる理由を深掘りしています。
筋肥大狙い(背面=ハム・臀部・背中をデカくしたい):
70–80%の1RMで6–10レップを3–4セット。RPE 7–8。ここはかなり鉄板のレンジです — how many reps for muscle growthでレップ帯の根拠をまとめています。
健康目的(強くなって、動ける体がほしい):
5–8レップを2–3セット。以上。Androulakis-Korakakis et al. (2020)のメタ分析でも、このくらいなら「トレ歴がある人でも筋力が伸びる最低ライン」はちゃんと超えています。
そして大事な注意点:最初から週2で重いデッドリフトはやらないこと。 週2で引くなら、重い日1回+軽めかフォーム練習の日1回にしましょう。回復コストは本物です(Ferland et al., 2019)。
スクワットもやるなら、デッドとスクワットのボリュームは「同じ回復予算」から引き落としてると思ってください — how many sets per muscle group per weekで、脚と背中の週ボリュームの考え方を解説しています。
Planfitだと、ここがこうなります
Planfitは、Androulakis-Korakakis et al. (2020)の「最小有効刺激」の考え方をベースに、デッドリフトのメニューを組みます。目的に対してちょうどいいボリュームからスタートするので、根拠のない“なんとなくのセット数”になりません。さらにHelms et al. (2017)が示した「RPEと重量の関係」を使って、頑張り具合を“伸びるゾーン”に収めます。だから自分で計算しなくても、セットが75–85%のちょうどいいところに乗りやすいんです。
慣れてきたら、いきなりドンと増やすんじゃなくて、負荷もボリュームも少しずつ上げていきます。
参考文献
- Androulakis-Korakakis P et al. (2020). The Minimum Effective Training Dose Required to Increase 1RM Strength in Resistance-Trained Men: A Systematic Review and Meta-Analysis.. Sports Med. 10.1007/s40279-019-01236-0
- Hackett DA (2022). Acute impairment in respiratory muscle strength following a high-volume versus low-volume resistance exercise session.. J Sports Med Phys Fitness. 10.23736/S0022-4707.21.12116-4
- Ferland PM, Comtois AS (2019). Classic Powerlifting Performance: A Systematic Review.. J Strength Cond Res. 10.1519/JSC.0000000000003099
- Helms ER et al. (2017). RPE and Velocity Relationships for the Back Squat, Bench Press, and Deadlift in Powerlifters.. J Strength Cond Res. 10.1519/JSC.0000000000001517
- Triki M et al. (2023). Timing of Resistance Training During Ramadan Fasting and Its Effects on Muscle Strength and Hypertrophy.. Int J Sports Physiol Perform. 10.1123/ijspp.2022-0268