筋肉痛にはアイシングより温めが効く——特に24時間を過ぎてから。2021年のメタ分析より
5 studies · 32-RCT meta-analysis (2021)
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筋肉痛のとき、カラダの中で何が起きてる?
DOMSは「遅発性筋肉痛」のことです。きついトレーニングをした直後じゃなくて、24〜72時間後にジワっと出てくる痛みですね。遅れてくるのが名前の通り、ポイントなんです。
原因になりやすいのはエキセントリック収縮。筋肉が力を出しながら伸ばされる動きです。スクワットの下ろす局面とか、アームカールのネガティブがまさにそれ。あの「伸ばされながら耐える」動きで筋肉に小さなダメージが入って、それが1〜2日後の痛みにつながります(Ranchordas et al., 2017)。
危険なものではないですし、筋肉痛が強い=トレーニングが「効いた証拠」でもないんですよ。does soreness mean muscle growthで詳しく話していますけど、ほとんど筋肉痛が出ない日でも筋肥大はちゃんと起きます。とはいえDOMSは普通に不快ですし、放っておくと次のセッションのパフォーマンスが落ちやすいので、うまく付き合っていきましょう。
筋肉痛は冷やすより温める——特に1日目を過ぎたら
冷やすのが勝つのは、実はかなり短い時間だけなんです。トレーニング後1時間以内に冷却(アイスパック、冷水浴など)を入れると、運動後24時間までの筋肉痛はしっかり減ります(Wang et al., 2021)。これはメタ分析(複数の研究結果を統計的にまとめて、より信頼できる結論を出す研究)の結果で、32本のRCT(被験者をランダムに分けて比較する実験)、合計1,098人をまとめています。
でも、1日目を過ぎると冷却は痛みに対してほぼ効かなくなります。
一方で温めは、最初から最後まで働いてくれます。ホットパックは24時間以内でも、24時間を超えてからでも筋肉痛を減らしました。しかもこのレビューの中で、温めがいちばん強い鎮痛効果でした(Wang et al., 2021)。
つまり「とにかくこの痛みを引かせたい」が目的なら、全体としては温めのほうが優秀です。2日目、3日目でも助けてくれるのは温めだけ。氷はその頃にはもう仕事を終えています。
冷水浴(CWI)は「痛み」より「明日の動き」のため
冷水浴(CWI)は、トレ後すぐに冷たい水に浸かるやつです。だいたい50-59°Fくらいが多いですね。鍛えているサッカー選手だと、試合後にCWIを入れても「主観の筋肉痛」はあまり変わらなかったんですけど、翌日のパフォーマンスは守れました(Veen et al., 2026)。
筋力(抵抗に対してどれだけ強く収縮できるか)の戻りが良くなりました。ジャンプ高も戻りやすかったです。筋線維が傷つくと上がりやすい血液マーカーのクレアチンキナーゼ(CK)も、より下がりました。逆にスプリント速度は、良くも悪くも変化なしでした。
これらはSMDという指標でまとめられています。ざっくり言うと「CWIをやったグループ」と「何もしないグループ」の差がどれくらい大きいか、数字で表したものです。数字が大きいほど、現場で感じる差も大きいと思ってOKです。
結論はシンプルです。CWIは「今ラクになるか」じゃなくて、「すぐまた動けるか」のための道具なんですよ。1〜2日以内にまた練習がある、連戦、週末に2試合…みたいな状況なら出番があります。筋肉痛がうっとうしいだけなら、狙うべきはそこじゃないです。
冷やすなら「やり方」が大事
冷水浴は、何でも同じじゃないんです。2025年のネットワーク・メタ分析(複数の「やり方」を横並びで比べられるタイプのメタ分析)では、浸かる時間と水温の組み合わせを変えた55本のRCTをまとめています(Wang et al., 2025)。
筋肉痛をいちばん減らして、ジャンプ高の回復も早めたのは、11-15°Cで10-15分。だいたい52-59°Fくらいです(Wang et al., 2025)。5-10°Cみたいにもっと冷たくしても効きますけど、マイルドな設定より「明らかに良い」とまでは言えませんでした。
要するに、いちばん冷たい浴槽で我慢大会をするメリットは薄いってことです。ほどよく冷たい温度で、10-15分きっちり。それで十分なんですよ。
11–15°Cで10〜15分のほうが、もっと冷たい水より回復に有利でした——冷たさを我慢してもボーナスはほぼありません。
— Wang et al. (2025). Impact of different doses of cold water immersion on recovery from acute exercise-induced muscle damage. Front Physiol.
サプリで筋肉痛はたぶん解決しません
抗酸化サプリ(ビタミンC、ビタミンEなど)は、「運動後の筋ダメージを抑える」として筋肉痛対策でよく使われますよね。でも、医療分野でもかなり厳しめで有名なコクランレビューを見ると、抗酸化サプリが筋肉痛をはっきり減らすと言えるだけの根拠は弱くて、結果もバラバラでした(Ranchordas et al., 2017)。
BCAA(分岐鎖アミノ酸。タンパク質を作る材料のうちの3種類)は、少しだけマシです。ただし「少し」です。2024年のメタ分析(18本のRCT)では、BCAAで筋損傷マーカーのCKが、トレ直後も72時間後も控えめに下がりました(Salem et al., 2024)。これは血液マーカーとしては意味のある変化ですけど、「体感の筋肉痛が必ず減る」とは別の話なんですよね。
回復にお金と手間をかけるなら、抗酸化サプリのボトルより、protein calculatorで1日のタンパク質目標を満たすほうが堅いです。筋肉の修復に関しては、ここで出てきたどの「筋肉痛サプリ」よりも、総タンパク質量のほうが根拠が強いですから。
結局、DOMSには何をすればいい?
今日はひとつだけ押さえておきましょう。大事なのは「自分が何を求めてるか」で手段を選ぶことです。
今つらいから、とにかくラクになりたい? それなら温めです。いつやってもOKで、2〜3日後でもちゃんと効きます(Wang et al., 2021)。
24-48時間以内にまたトレーニングがあって、快適さより「脚が戻ること」が必要? その場合は冷水浴。11-15°Cで10-15分がベターです(Veen et al., 2026)。時間と温度の組み合わせを比べたネットワーク・メタ分析でも、同じ設定が推されています(Wang et al., 2025)。
抗酸化サプリで筋肉痛を予防しよう、は期待しないほうがいいです。根拠がそこまで追いついていません(Ranchordas et al., 2017)。それと、筋肉痛をわざわざ追いかけないこと。毎セット限界まで潰したり、慣れてないエキセントリック多めの種目を急に盛ったりすると、筋ダメージだけ増えて、成長の見返りは増えにくいんです。training to failureで話していますけど、限界の数レップ手前で止めても筋肥大は同じくらい作れて、DOMSの原因になるダメージはかなり減らせます。
フォームローラーがすでに習慣なら、続ける価値はありますよ。benefits of foam rollingでも、筋肉痛と可動域に「小さいけど本物」の効果が出ています。とはいえ一番大きいのは結局ここ。次のセッションにちゃんと来れることが、どんな回復テクより効きます。
Planfitだと、ここがこう活きます
PlanfitのAnalysisタブは、部位ごとの回復状態を追いながら、トレーニングのボリュームも自動で記録してくれます。だから「この筋肉痛、もうやっていいのかな?」を勘で決めなくて済むんですよね。
それに漸進性過負荷の管理もセットです。Planfitは、今の負荷が「もう余裕になってきた」と判断できたタイミングでだけメイン重量を少し上げるので、回復が追いついてない筋肉にムダなダメージを積み増しせずに、ちゃんと伸ばしていけます。
参考文献
- Wang X et al. (2021). Heat and cold therapy reduce pain in patients with delayed onset muscle soreness: A systematic review and meta-analysis of 32 randomized controlled trials.. Phys Ther Sport. 10.1016/j.ptsp.2021.01.004
- Veen K et al. (2026). The Impact of Cold-Water Immersion on Post-Match Recovery in Trained Soccer Players: A Systematic Review and Meta-Analysis.. Scand J Med Sci Sports. 10.1111/sms.70202
- Wang Y et al. (2025). Impact of different doses of cold water immersion (duration and temperature variations) on recovery from acute exercise-induced muscle damage: a network meta-analysis.. Front Physiol. 10.3389/fphys.2025.1525726
- Ranchordas MK et al. (2017). Antioxidants for preventing and reducing muscle soreness after exercise.. Cochrane Database Syst Rev. 10.1002/14651858.CD009789.pub2
- Salem A et al. (2024). Attenuating Muscle Damage Biomarkers and Muscle Soreness After an Exercise-Induced Muscle Damage with Branched-Chain Amino Acid (BCAA) Supplementation: A Systematic Review and Meta-analysis with Meta-regression.. Sports Med Open. 10.1186/s40798-024-00686-9