トレ前?トレ後?コーヒーはタイミングで役割が変わる(メタ分析21本)
5 studies · Grgic 2020 umbrella review
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タイミングが違うと、カラダの中でやってる仕事も別モノ
カフェインって、カラダに対して「1つの効果」だけじゃないんです。いくつか別の働きがあって、しかも同じ時間軸で起きません。
トレーニング前は、脳や神経でアデノシン受容体をブロックします。アデノシンは溜まってくると「疲れた…」って感覚を作る物質なので、そこを止めると頭が冴えて、もうひと踏ん張りしやすくなるんですよ(Grgic J, 2021)。これはパフォーマンスの話で、主役は神経系です。
一方でトレ後は、まったく別の方向に効きます。筋肉が炭水化物をどう扱うかが変わるんです。鍛えているサイクリストが回復中に「コーヒー+牛乳」を飲んだ試験では、牛乳だけより筋肉の“貯金燃料”が2倍以上まで戻りました(Loureiro et al., 2021)。これは目が覚めるとかじゃなくて、燃料を貯め直す効果なんですよ。
同じ飲み物でも、別のタイミングで別の仕事。だから「コーヒーと運動って結局どうなの?」を1つの質問にまとめちゃうと、だいたいアドバイスがズレます。
トレ前:カフェインは“気のせい”じゃなく、ちゃんと効く
トレ前のカフェインは、スポーツ栄養の中でもかなり根拠が強い部類です。
論文を何十本もまとめて分析した大きな調査(しかも今回は、メタ分析をさらに21本まとめた「アンブレラレビュー」)を見ると、カフェインは有酸素の持久力、筋力、筋持久力、パワー、ジャンプ力、運動スピードを押し上げます(Grgic et al., 2020)。特に筋力・持久力・パワーの根拠の質は「中程度」と評価されていて、研究の言葉で言うと「わりと信頼できる」って意味です。「効くかもね」レベルじゃありません。
ウエイトトレーニングに絞って見ても同じです。カフェインは1RM、等尺性筋力(動かないものに力を出すやつ。固定バーを押す感じです)、等速性筋力(マシンで一定速度のまま力を測るやつ)に加えて、筋持久力、バー速度、いろんな重量・レップ設定でのパワーも上げます(Grgic J, 2021)。女性でも男性でも効き方はだいたい同じで、カフェインの形も錠剤・ジェル・ガム・淹れたコーヒーでも効果が出ています(Grgic J, 2021)。トレ前にどう飲むのがいいかをもっと具体的に知りたいなら、is coffee good before a workoutも見ておきましょう。
カフェインは筋力・持久力・パワーを安定して押し上げます。メタ分析21本をまとめた結果で、根拠の質も「中程度」=ちゃんと信頼できるレベルです。
— Grgic et al. (2020). Br J Sports Med.
効く量は、みんなが思ってるより少なめです
トリプルエスプレッソまでいらないですよ。
パフォーマンスがちゃんと動く最小ラインは、体重1kgあたりカフェイン1.5 mgくらいです(Grgic J, 2021)。体重70 kg (154 lb)なら約105 mg。だいたい普通のドリップコーヒー1杯くらいですね。しかも、増やしたからといって見返りは大きくありません。低用量(2-3 mg/kg)と高用量(6 mg/kg)を比べても、効果はだいたい同じくらいです(Grgic J, 2021)。
もう1つ、スポドリやエナジードリンク頼みのときの目安もあります。カフェイン入り飲料のレビューでは、飲み物から摂るなら少なくとも3 mg/kgはないと、安定して変化が出にくいとされています(Jiménez et al., 2021)。コーヒーはこの範囲でも少なめで足りる寄り、という感じです。
あと2つだけ。CYP1A2やADORA2Aみたいな「カフェインを抜く速さ」に関わる遺伝子の違いは、効果を弱めないようです。毎日コーヒーを飲む習慣も、効き目を落としにくいとされています(Grgic J, 2021)。つまり、効かせるために“カフェイン断ち”を周期的にやる必要は基本ありません。
最小有効刺激は1.5 mg/kg。コーヒー約1杯です。それ以上に増やしても、上積みはほとんど変わりません。
— Grgic J. (2021). Sports Med.
トレ後:コーヒーで“燃料の戻り”がほぼ2倍に近づく
ここ、ほとんど誰も話しません。でも大事です。しかも「眠気が飛ぶ」とは関係ないんですよ。
ランダム化クロスオーバー試験(全員が両方の条件を試すので、自分自身で比較できるやり方)で、鍛えているサイクリストがキツいライドで筋グリコーゲン(筋肉が燃料として使う、貯めてある炭水化物)を空っぽに近いところまで減らしました。その後、普通の朝食と一緒に「コーヒー+牛乳」か「牛乳のみ」を摂ります。4時間後に筋生検で確認すると、コーヒー群は乾燥筋1kgあたり102.6 mmolまで回復していて、牛乳のみは40.5 mmol/kgでした(Loureiro et al., 2021)。差はかなり大きいです。さらにコーヒー群は血糖とインスリンの上がり方も大きくて、これが仕組みの一部っぽいんですよね。回復中に、炭水化物を筋肉に押し込みやすくしている可能性があります。
注意点も1つ。これは「炭水化物+たんぱく質の回復食にコーヒーを足した」結果です。空腹でカフェインだけ、という話ではありません。記録として効いているのは“コーヒー+食事”です。
同じ1つの成分が、別の効果を出せる理由
カフェインの「パフォーマンスを上げる効果」と「回復で燃料を戻す効果」は、通る道が違います。だから1つの“カフェイン効果”にまとめられないんです。
運動前は、主に中枢神経系に働きます。覚醒度が上がって、カテコールアミン(アドレナリン系のホルモン)が出やすくなって、キツさの感じ方も変わります(Barcelos et al., 2020)。これが筋力や持久力アップの土台です。
運動後は、神経というより代謝の話になります。カフェインは、血糖やインスリンの扱いに影響して、回復中に炭水化物を筋肉へ運んで貯めやすくする可能性があります(Loureiro et al., 2021)。全身の代謝への影響という意味でも、これまでの知見と整合します(Barcelos et al., 2020)。同じ成分でも、入る“ドア”が違う。タイミングで役割が変わるって、そういうことなんです。
結局、どう飲み分ける?
トレ前:体重あたり1.5-3 mg/kgを目安に、トレの30-60分前。特に重いコンパウンド種目の日が狙い目です。筋力とパワーの研究が一番強いのがそこなんですよ(Grgic J, 2021)。
トレ後:トレ前のタイミングを逃したからって、コーヒーを諦めなくてOKです。いつものトレ後ごはんと一緒に飲みましょう。グリコーゲン回復が伸びた試験も、空腹じゃなく食事とセットでした(Loureiro et al., 2021)。
どっちにしても、コーヒーは「1回だけ使って終わり」の道具じゃありません。パフォーマンスアップと回復アップ、同じ習慣で2つ取れるんです。余計なコストもほぼかかりません。
Planfitだと、ここにどう活きる?
Planfitは「コーヒーをいつ飲んでください」とは言いません。でも、タイミングを合わせる価値があるセッションがどれかは見えるようにしてくれます。メニューの中で、どのセットがメインの重いリフトで、どれがウォームアップなのかが分かれて表示されますし、セットごとの強度のおすすめで「どのセットに一番集中すべきか」もはっきりします。記録を続ければ、Planfitが伸び方の傾向を追ってくれるので、トレ前ルーティン(コーヒーも含めて)が本当に数字を動かしているか、自分のデータで確認できますよ。
参考文献
- Grgic J, Grgic I, Pickering C, Schoenfeld BJ, Bishop DJ, Pedisic Z (2020). Wake up and smell the coffee: caffeine supplementation and exercise performance-an umbrella review of 21 published meta-analyses. Br J Sports Med. 10.1136/bjsports-2018-100278
- Grgic J (2021). Effects of Caffeine on Resistance Exercise: A Review of Recent Research. Sports Med. 10.1007/s40279-021-01521-x
- Jiménez SL, Díaz-Lara J, Pareja-Galeano H, Del Coso J (2021). Caffeinated Drinks and Physical Performance in Sport: A Systematic Review. Nutrients. 10.3390/nu13092944
- Loureiro LMR, Reis CEG, da Costa THM (2021). Coffee Increases Post-Exercise Muscle Glycogen Recovery in Endurance Athletes: A Randomized Clinical Trial. Nutrients. 10.3390/nu13103335
- Barcelos RP, Lima FD, Carvalho NR, Bresciani G, Royes LFF (2020). Caffeine effects on systemic metabolism, oxidative-inflammatory pathways, and exercise performance. Nutr Res. 10.1016/j.nutres.2020.05.005