Beginner Mistakes

ベンチプレスが胸に効かない原因と直し方6つ

ベンチプレスが胸に効かないのは、肩や上腕三頭筋が代わりに働いているから。初心者向けのフォームの直し方6つと、胸に効きやすい代わりの種目をまとめました。

1分で読了

パワーラック内のフラットベンチで、バーベルを胸まで下ろしているリフター

ベンチプレスが胸に効かないのは普通?

ベンチプレスで胸に効いてる感じがしない…それ、全然珍しくないです。だからといって胸がサボってるわけでもありません。

ベンチプレスは「押す」動きで、主役は3人います。胸、肩の前側、上腕三頭筋(腕の裏)ですね。先に疲れたところが一番“感じやすい”ので、特に初心者だと肩や腕ばかり先に来ることが多いんです。

あと大事な話をすると、筋肉が焼ける感じ(パンプや熱さ)=ちゃんと鍛えられてる、ではないんですよ。ベンチで胸にあまり効いている感じがしなくても、胸がちゃんと育ってる人は普通にいます。

変えられるのは「胸にどれだけ仕事をさせるか」です。よくあるパターンはこの3つ。

  • 肩が持っていく: 肩甲骨がベンチに押し付けられてない、または肘が開きすぎ。→ 直し方1と3
  • 腕が先に限界: グリップが狭すぎる、または上腕三頭筋が弱点。→ 直し方2
  • そもそもあまり何も感じない: バーが胸まで下りてない、または重すぎてコントロールできてない。→ 直し方4と5

まずはセットアップを直しましょう。そのうえで判断は“燃える感じ”じゃなくて、数ヶ月のトレーニングログで見てください。
同じ重量でレップが増える、同じレップで重量が上がる。これが出てるなら、ちゃんと効いてます。

1. 肩が主役になってる?肩甲骨をベンチに押し付けよう

一番多い原因はこれです。肩が前に巻いたり、すくんで耳に近づいたりすると、肩の前側が“本来は胸がやるはずの仕事”を持っていっちゃいます。

バーを持ち上げる前に、この順番でセットしましょう。

  1. ベンチに寝て、バーを握る前に肩を後ろに引きます。両方の肩甲骨をベンチにグッと押し付けてください。
  2. 次に、肩を足のほうへ下げます。これだけで胸は自然に上がってきますよ。
  3. お腹に力を入れて、腰が反りすぎないようにします。咳をする直前みたいに「フッ」と固める感じです。お尻はベンチにつけたまま、足裏は床にベタッと。
  4. その形を崩さずにバーを握ります。
  5. 下ろすときも押すときも、肩甲骨はベンチに押し付けたまま。押し上げるときに肩が前に出てくるなら、今は重量が重すぎます。

ベンチで肩の前側が痛む感じもあるなら、こちらもチェックしてください。ベンチプレスで肩が痛いときの直し方。

肩甲骨をベンチに押し付けて肩を下げると、胸は勝手に持ち上がってきます

2. 腕が先に限界?グリップ幅を見直そう

胸に効く前に上腕三頭筋が燃え尽きるなら、まずグリップを見ましょう。グリップが狭いほど、上腕三頭筋の仕事が増えます。グリップ幅を比べた2つの研究でも、ワイドよりナローのほうが上腕三頭筋の活動が大きかったんです(Saeterbakken et al., 2021; Muyor et al., 2023)。

ただ、めちゃくちゃワイドにしても胸が劇的に増えるわけじゃありません。同じ研究だと、胸の活動はグリップ幅であまり変わらなかったんですよね。

狙いはミドルグリップです。バーのリング(ローレットのザラザラが切り替わる目印)に、薬指か小指を合わせる。だいたいこれが“ちょうどいい幅”になります。

あと、始めたばかりだと3つの中で上腕三頭筋が一番弱いことが多いです。腕が先に来るのは、ある意味ふつうですよ。

ミドルグリップだと、バーの真下に前腕がまっすぐ立ちます

3. 肘の向きと、バーが当たる位置をチェック

ベンチの“効き方”って、実は小さいところで変わります。ここは2つだけ押さえましょう。

  • 肘を真横に開きすぎない。 上から見たときに、体と腕がT字じゃなくて、矢印みたいな形になるくらいに少し肘を入れます。肘が開きすぎると、肩の前側にストレスが乗りやすいんです。
  • バーは乳首の少し下あたりに軽くタッチ。 鎖骨の近くに下ろすと、だいたい肘が開いて肩も前に巻き込みやすくなります。

レップのトップでは、バーはだいたい肩の真上あたりに戻ってくるのが目安です。

左:肘が真横に開いてT字。右:肘が肋骨側に入って矢印みたいな形

4. バーは胸までしっかり下ろそう

胸の少し手前で止めちゃうと、レップの下側が抜けます。ここって、胸が一番ストレッチされる“おいしいところ”なんですよ。

毎レップ、バーを胸に軽く触れさせましょう。反動でバウンドさせるのはNGです。

可動域をフルで使うほうが、部分レップより筋力も伸びやすいことが分かっています(Pallarés et al., 2021)。今の重量で胸まで届かないなら、素直に重量を落としましょう。

ボトムの感覚を覚えるなら、空のバーで練習が一番です。ゆっくり下ろして胸にタッチ→押し上げる、を数レップやってみてください。

5. 軽めで、ゆっくりやろう

バーがグラグラしてバランス取りに必死だと、胸に意識を向ける余裕がなくなります。

10レップ以上できる重量なら、「胸を使う」意識を持つだけで実際に胸の働きが増えることもあります(Calatayud et al., 2016)。だから“胸に効かせたいセット”は、こうやっていきましょう。

  • 10レップ以上できる重量にする。
  • 下ろしは2〜3秒かけてゆっくり。
  • 押すときは、バーを遠くへ押すより、上腕(腕の付け根)同士を寄せるイメージで。

詳しくは、こちらもどうぞ。軽い重量で狙った筋肉に効かせるコツ。

6. それでも胸に入らない?種目を替えよう

セットアップを直しても、肩か上腕三頭筋ばかりに効くなら、ベンチプレス自体をいったん替えましょう。正直、バーベルベンチは「胸を大きくするのに必須」ってわけじゃないんです。

サクッとチェック:この順番で直そう

  1. ラックアップ前に、肩甲骨をベンチに押し付けて肩を下げる。
  2. バーのリングに薬指か小指を合わせる。
  3. 肘を少し入れて、バーは乳首の少し下にタッチ。
  4. バーは胸までしっかり下ろす。
  5. 10レップ以上できる重量で、下ろしはゆっくり。
  6. それでもダメなら、上の種目に替える。

一気に全部直そうとしなくてOKです。上から1個ずつ潰していきましょう。
ダンベルベンチやチェストプレスマシンでも、基本は同じです。肩は「後ろ&下」、肘は開きすぎない。ここを守ってくださいね。

よくある質問

ベンチプレスって、どこに効いてるのが正解?

基本は胸全体です。そこに肩の前側と上腕三頭筋も一緒に働きます。3つ全部を感じるのは普通ですよ。
逆に、肩だけ(特に関節の前側がズーンと痛む感じ)なら、セットアップが崩れてるサインのことが多いです。

ベンチで背中は反らせたほうがいい?

上背部に小さなアーチがあると、肩甲骨をベンチに押し付けたままにしやすいです。それが胸を種目に残すコツなんですよね。
お尻はベンチにつけたまま、足裏は床にベタッと。極端なブリッジを作らなくても胸には効かせられます。

ベンチのあと胸が筋肉痛になりません。効いてない?

効いてます。筋肉痛は筋肥大の指標じゃありません。
同じメニューを繰り返すと筋肉痛は減っていきますけど、トレーニング効果が消えるわけじゃないんです。詳しくはここで解説しています。筋肉痛と筋肥大は比例しない理由。

腕立て伏せでも胸に効きません。同じ問題?

だいたい同じです。肩甲骨は後ろ&下、肘は少し入れる、胸が床に近づくところまで下ろす。まずはこれでOK。
動きの全体はプッシュアップも見てみてください。

声のガイドでベンチのセットアップを覚えよう

Planfitの各種目にはガイドがついています。音声コーチングなら、スタート姿勢・動き・呼吸をステップごとに確認しながら3レップ練習できますし、セット中もフォームのコツが聞けます。

参考文献

  1. Calatayud J, Vinstrup J, Jakobsen MD, et al. (2016). Importance of mind-muscle connection during progressive resistance training.. Eur J Appl Physiol. 10.1007/s00421-015-3305-7
  2. Saeterbakken AH, Stien N, Pedersen H, et al. (2021). The Effect of Grip Width on Muscle Strength and Electromyographic Activity in Bench Press among Novice- and Resistance-Trained Men.. Int J Environ Res Public Health. 10.3390/ijerph18126444
  3. Pallarés JG, Hernández-Belmonte A, Martínez-Cava A, et al. (2021). Effects of range of motion on resistance training adaptations: A systematic review and meta-analysis.. Scand J Med Sci Sports. 10.1111/sms.14006
  4. Muyor JM, Rodríguez-Ridao D, Oliva-Lozano JM. (2023). Comparison of Muscle Activity between the Horizontal Bench Press and the Seated Chest Press Exercises Using Several Grips.. J Hum Kinet. 10.5114/jhk/161468